2016.03.02

岸野保育園 : 市村 めぐみ さん

自然や人との触れ合いを通じ、心と体が大きく成長しています

Q1 園の特長や魅力について教えてください。

岸野保育園は、9百坪の田畑が園に隣接しており、いつでも遊びに行ける恵まれた環境にあります。田んぼでは、田植え、稲刈り、脱穀を経験できるもち米作り、池では、佐久の名産である鯉の稚魚を放流し、毎日のエサやりをしたり、夏には大きくなった鯉のつかみ取りをしたり、それをみんなで給食に頂いたりしています。畑では様々な農作物作りをしています。

また、チャボ、兎、山羊を飼育しています。年少児から年長児まで、責任を持って飼育動物の世話をします。年長児は山羊小屋の糞や汚れたわらを掃除し、畑の堆肥置き場へ運びます。それが一年後に堆肥となり、春の堆肥まきの時に使われるのです。

地域の方の協力もあり、自然にこれらの活動が根付いてきました。これからも楽しみながら、続けていきたいと思っています。

Q2 通っている子ども達の特長や成長の様子について感じることを教えてください。

汗を流して自然の中で動くことが多いためか、寒い日でも外遊びを楽しむ子どもがとても多く、体を動かして遊ぶことの楽しさ、気持ちよさを感じているようです。

また、農作物作りを通して、〝食べてみたい〟〝みんなにも食べてほしい〟などの気持ちから、自分が今まで嫌いだった食べ物でも、挑戦してみようとする様子が見られることも少なくありません。畑へ行くたびに採れる野菜、大きくなった鯉、稲の穂がついてきた田んぼの様子などを見て嬉しいのは、大人だけではありません。しかし、子ども達の背より大きくなってしまった雑草とりなど、嬉しい事ばかりではありませんが、その過程があるからこその喜び・・・身近にある自然とのかかわりから得るものは、とても大きいと感じています。

Q3 園の活動や子ども達の様子について、印象に残っているエピソードがあれば教えてください。

地域のおじいさんたちが保育園の田畑に来てくれるようになって間もない頃のこと。子どもたちが慣れない手つきでおそるおそる植えたもち米の稲。とてもまっすぐとは言えず、浮いてしまった稲や、グネグネ曲がって植わっています。田畑のスペシャリストのおじいさん達にはその光景があまりにもひどく見えたのでしょう。「こりゃ、ひでえな。やり直さなくっちゃいけねえな。」と。そこで、園長先生が子どもたちが一生懸命植えた事の素晴らしさを伝えると、おじいさんは「そうだな、生まれて間もない子どもだもんな。」とおっしゃり、その後、田畑の活動では子どもたち主体の活動にしてくださり、出来栄えよりも過程を大事にしてくださっています。新人のおじいさんには、園長先生の思いを伝えてくださる様子も見られるほど。有難いことです。

Q4 「様々な体験活動を幼児期から積極的に取り入れる自然保育」についてどう思われますか。

仲間と一緒に汗を流しながら、同じ目的に向かって取り組むことというのは、大きくなってから出来るようでなかなかできない事のように思います。小学校では学習の一環として取り入れられることがあるとしても、幼児期のゆったりとした時間の流れの中で体験できる事は、とても貴重なことではないかと思います。田植えを初めて体験する時、「気持ち悪い」、「汚い」と言って、砂や泥を触りたがらない子どもも中にはいますが、いざやってみると、「気持ちいい!」「ヌルヌルしてておもしろい」と、田んぼからなかなか出ようとしない姿も見られるほどです。

また、地域の方と触れ合いながらの活動ですので、おじいさんやおばあさんから未就園の子どもさんも一緒に、色々な世代が同じ時間を共有することで、自然を楽しみ、楽しさを共感できる場になっていると思います。

Q5 今後、みなさんの園に入園される親子のみなさんへメッセージをお願いします。

岸野保育園には、隣接する広大な敷地があり、体を動かしてのびのび遊べる場となっています。春にはレンゲやクリムソンクローバーの花畑で花摘みをしたり、もち米作り、鯉の飼育やつかみ取り、様々な野菜作りを体験します。入園直後、手に泥がついただけで泣いていた子どもさんも、数か月後には体中泥んこになって鯉をつかんだり、稲を植えたり刈ったり、とてもたくさんの体験をしています。

また、山羊、兎、チャボを飼育しており、責任を持って世話をすることで、思いやりの心や命の大切さを学ぶ場となっています。

入園している子どもさんの体験の場にとどまらず、地域の方や保護者の方、未就園の子どもさんにも楽しんでいただき、共感できる場にもなっています。自然や人との触れ合いを通じ、心と体が大きく成長してくれることと思っています。

Q6 最後に、今後自然保育に取り組もうと考えている保育者の方へメッセージをお願いします。

自然保育・・・というと、一瞬とても大変なことを想像しがちですが、一番身近にある保育材でもあると思います。子どもたちと外へ出て、一緒に汗を流し、発見したり、感動したりの繰り返し。盛り上がりは、まず保育者が楽しむことだと思います。、保育者自身が「どうしてだろう?」「調べてみよう!」「やってみよう!」という気持ちで、楽しむ事が一番ではないかと思います。。

また、地域の方とのつながりも深められる良い機会になると思います。子育てや保育に関する知恵や知識の交換、地域の文化や伝統を大切に、教えて頂きながら子育ての喜びを分かち合える場になっていくと思います。