2016.02.25

幼児教室 大地 : 遠藤 恵委子 さん

子どもたちが豊かな子ども時代を過ごせるように共に楽しみましょう

Q1 園の特長や魅力について教えてください。

里山の豊かな自然環境の中にあり、園の周辺は林檎畑や田畑、林などに囲まれ、四季ごとに楽しめることが多いです。また、園の敷地がたいへん広く、斜面のある芝生やツリーハウス、ダイナミックなアスレチックロープ、焚火スペースもある東屋、外で料理ができる石窯、かまど、そして五右衛門風呂がありますので、日常のくらしの中で様々な自然体験をしています。
子どもたちと共に手作りすることを大切にしています。例えば畑でできた大豆を石臼でひいてきな粉にしたり、うどんも小麦粉からこねて製麺機を使い、自分たちが火起こしして麺を茹でたりします。
思いきり自然の中で遊ぶことに加えて、室内で創造的に穏やかに遊ぶ時間も保証し、静と動の活動のバランスも大切にしています。子どもにとって刺激の強いものは避け、わらべうたを楽しんだり、室内のおもちゃも自然素材の手作りのものにしたり、子どもたちにとって心地よいものを選ぶようにしています。

Q2 通っている子ども達の特長や成長の様子について感じることを教えてください。

園庭が斜面で、日頃から遊びの中で上り下りをし、また周りに木登りのできる木もたくさんあるので、運動能力やバランス感覚を養う場面が多いです。生き物や草花、木の実などをよく見つけ、扱い方も日々学んでいて、誰が虫を捕まえるのが得意かなど子どもたちはよく知っています。また、自然のものを使って、自主的、主体的に考えて遊びを作ることができ、夢中になって遊びこめる時間が多いと思います。
入室当初は、自然の中でどう遊んでいいか分からなかった子も、毎日の遊びでいろいろな自然体験をするなかで慣れていったり、虫好きな仲間が本当に楽しそうに遊ぶ姿を見て、刺激も受け、虫捕りが広がったりすることもあります。また、異年齢保育で家族のように皆で過ごしていることで、普段から異年齢で遊ぶ場面も多く、木登りなどは、大きい子の姿を見て、しばらくしてから小さい子がチャレンジする姿があったりします。

Q3 園の活動や子ども達の様子について、印象に残っているエピソードがあれば教えてください。

入室当初は、斜面の下り坂を一人でなかなかおりられなかった子が、秋にアケビの実がなる頃、その実が大好きになり、それを見つけるために大きい子が下りて行った険しい坂を自分から下りて行く姿がありました。経験を重ねる中で、仲間にも刺激されながら意欲的な姿につながっていくことを感じました。
年長児のお泊り保育の時に五右衛門風呂をみんなで火おこしした時のことです。2つある五右衛門風呂の片方の火がなかなかつかず、もうマッチも新聞もなくなった時に子どもたちにどうするか任せていたところ、火がついている薪を隣に移せばいいと考えつき、自分たちで火をつけることができ、皆で大いに喜びあいました。日頃から自然と関わり、火起こしをして火にも向き合う経験をしていて、それぞれ認め合える仲間関係の中だったからこそ、成功したように思います。

Q4 「様々な体験活動を幼児期から積極的に取り入れる自然保育」についてどう思われますか。

普段の家庭生活では、なかなか豊かな自然体験や生活体験ができなくなっているからこそ、自然保育を積極的にすすめていくことは、大切だと考えます。これから様々な感覚を育てていく幼児期に様々な体験活動をすることで心身ともの成長を育んでいけると思います。しかし、さまざまな体験活動においては、子どもたちの服が汚れたり、小さな怪我をしたり、また、地域の方に協力していただいたりすることもあるので保護者の理解や周囲の地域の理解が不可欠だと考えます。さらに、子どもが仲間と体験するだけでなく、時には保護者と一緒に楽しむことが必要で、それが幸せな親子関係にもつながっていくように感じ、そのような親子での体験の場を作ることも大切だと考えます。

Q5 今後、みなさんの園に入園される親子のみなさんへメッセージをお願いします。

子ども達は、豊かな自然環境の中で思い切り遊び、ワクワク、ドキドキ心を動かしながら日々過ごしています。自然や仲間とのかかわりのなかで子どもたちが持っている力が発揮され、子どもたちそれぞれ輝く場所があり、自分から意欲的に創造的に過ごす姿があります。そして、この豊かな自然環境は、保護者の皆さんにとっても心地よく、ホッとできる空間であると思います。また、親子で楽しむ行事も多く、幼児期に親子で、また仲間と自然体験を楽しめることは、幸せなことで、大切なことだと考えています。保護者の皆さん同士の関わりも多く、子育ての楽しさにつながっているように感じます。共に学び合いながら、子どもたちが豊かな子ども時代を過ごせるように共に楽しみましょう。

Q6 最後に、今後自然保育に取り組もうと考えている保育者の方へメッセージをお願いします。

自然の中で遊ぶことはまず保育者自身が楽しく、心地よいです。また、子どもたちのいきいきした姿を見られることに大変幸せを感じます。
自然の中で保育することは、この木は登って大丈夫か危険な動植物はないか、また子どもの主体性や自主性を尊重する場合、特に子どもたちの関わりにどこまで保育者が介入する必要があるかなどその場で判断することも多いです。保育者自身が自然のことを知ることも大切ですし、保育者間でどこまで子どもを見守るかなどお互い確認することが大切だと思います。保護者の方に、自然保育のことを伝えて行くことも不可欠だと思います。
長野には、自然保育をしているところがたくさんあり、地域性や保育者の考えによってずいぶんやり方も違うと思います。一度、いろんな自然保育をしている園へ見学をされることもよいと思います。